重要:この解説の元になった論文は、2026年6月29日に撤回されました
NEJM は2026年6月29日、ADVOCATE 試験の論文(Jayne DRW, et al. N Engl J Med 2021;384:599-609)を撤回しました(撤回告知 DOI: 10.1056/NEJMe2608684 )。PubMed でも撤回論文(Retracted Publication)として扱われています。
撤回の理由 :撤回告知によると、撤回を申し出たのは学術側の著者2名です。論文の発表後に始まり、現在も続いている米国 FDA の調査で、データベース固定と盲検解除の後に、9例の主要評価項目の判定がやり直されていたことが分かりました(この2名には知らされていませんでした)。論文にはこのことが書かれておらず、編集部は適切な研究の進め方に反すると判断しています。
国内ガイドライン :厚労科研 難治性血管炎研究班は2026年7月2日、「ANCA関連血管炎診療ガイドライン2023」のアバコパンの推奨(推奨⑥・CQ1-8)を、根拠の論文が取り下げられたことを理由に削除しました。Minds ライブラリと書籍版への対応は、今後関係機関と協議する予定とされています。書籍版をお使いの場合は、研究班の告知もあわせてご確認ください。
肝障害の注意喚起 :製造販売元(キッセイ薬品工業)は2026年5月、胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害が報告され、国内で死亡例が20例(因果関係が不明なものを含む)あることから、当面は新規患者への投与を控えるよう求めています。継続投与中の患者には、肝機能障害のリスクと代替治療を十分に説明したうえで、継続の是非を慎重に判断するよう求めています。2026年5月1日付で、添付文書の「重大な副作用」に胆管消失症候群が追記されました。
米国 :FDA の医薬品評価研究センター(CDER)は2026年4月27日、承認された使い方での有効性が示されていないこと、承認申請に重要な事実について事実と異なる記載があったことを理由に、米国承認の取下げを提案しました。これは最終決定ではなく、FDA は、申請者が販売をやめるか FDA 長官が撤去を命じるまで販売は続くとしています(FDA のページの最終更新日は2026年7月13日。2026年9月22日に確認)。
欧州 :EMA の CHMP は2026年6月25日に販売承認の取消しを勧告し、欧州委員会は2026年8月4日に取り消しを決定しました。
この下の解説(本文・Editor's Note)は撤回前の論文にもとづいて書かれたもの で、内容は書き換えていません。数値や「ステロイドを減らせる」とした結論は、撤回された論文のものとしてお読みください。実際の診療では、最新の添付文書・通知・ガイドラインを必ずご確認ください。
出典(2026年9月22日に確認):NEJM 撤回告知 /PubMed /難治性血管炎研究班(2026年7月2日) /キッセイ薬品工業「タブネオスカプセル10mg 慎重な投与のお願い」(2026年5月) /FDA「CDER proposes to withdraw approval of TAVNEOS」 /EMA(Tavneos referral)
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会員限定 血管炎(ANCA関連血管炎) 無作為化・二重盲検・第3相 N Engl J Med 2021 読了 約4分
【原著撤回】ADVOCATE:アバコパンでANCA関連血管炎のステロイドを減らせると報告した論文
Jayne(ADVOCATE Study Group). 【原著撤回】ADVOCATE:アバコパンでANCA関連血管炎のステロイドを減らせると報告した論文 (ADVOCATE). N Engl J Med 2021;384(7):599-609.(DOI: 10.1056/NEJMoa2023386 / PMID: 33596356 / NCT02994927)
※ 原著論文は2026年6月29日に撤回されました。以下は撤回前の論文の内容です。 ANCA関連血管炎(GPA/MPA)で、経口C5a受容体阻害薬アバコパン を標準免疫抑制(リツキシマブ or シクロホスファミド)に併用すると、26週寛解はプレドニゾロン漸減に非劣性、52週の持続寛解は優越 (65.7% vs 54.9%)。ステロイドを大幅に減らせる 新戦略を示した。
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Background 背景・CQ ANCA関連血管炎の標準治療は高用量ステロイド+免疫抑制薬だが、ステロイドの累積毒性(感染・糖尿病・骨粗鬆症)が問題。補体の代替経路(C5a)が好中球を活性化し血管を傷害。
クリニカルクエスチョン
C5a受容体阻害でステロイドを置き換えられるか?
Design (PICO) 研究デザイン(PICO) P Population ・ 患者 ANCA関連血管炎(GPA/MPA、新規 or 再発)(n=331)。
I Intervention ・ 介入 経口アバコパン 30mg 1日2回+標準免疫抑制(RTX or CYC→AZA)。
vs C Comparison ・ 対照 プレドニゾロン漸減+標準免疫抑制(1:1)。
O Outcome ・ 評価項目 26週寛解(BVAS=0+直近4週ステロイドなし)、52週の持続寛解。
方法 :無作為化・二重盲検・第3相。
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本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。