コラム
1本の試験ではなく、複数の試験を束ねて「そのテーマをどう考えるか」をまとめた総論です。参照した診療ガイドラインを各ページに明示しています。本文はプレミアム会員限定です。無料期間中に読めるものと、ご契約の開始後に読めるものがあります。

心房細動の30年 ― 31試験で読む、問いが三度置き換わるまで
「洞調律に戻すべきか」。心房細動の中心にあったこの問いは、2002年に否定された。すると問いは「何で止めるか」から「何で固めるか」へ移り、DOACの4試験がワルファリンを置き換える。次に問いは「足すか」から「どこまで引けるか」へ移り、三剤併用が消えていく。

「足す」ことの作法 ― 16試験で読む、心・腎・代謝が1つの土俵になるまで
効いている薬があるなら、もっと効かせればいい。この発想は2013年、VA NEPHRON-Dによって明確に否定された。以後、上乗せの発想は「同じ経路を強く」から「別の経路をもう1本」へ切り替わる。

敗血症の輸液は、足すのか引くのか ― 22試験で引く、量・種類・やめどきの線
2011年、アフリカの小児3141例で、20 mL/kg のボーラスを入れた群のほうが多く死んだ。48時間死亡 10.6% / 10.5% 対 7.3%。世界中の蘇生ガイドラインが書いていた常識が、逆向きに壊れた瞬間である。その前の10年、輸液は「足りないから足す」ものだった。

ARDSの肺を、開くのか小さく使うのか ― 12試験が17年かけて出した答え
虚脱した肺胞を開いて使える肺を広げる。理屈は美しく、生理学的にも支持されていた。しかし高PEEPもリクルートメントも高頻度振動換気も、死亡を減らせなかった。ARTとOSCILLATEに至っては増やした。

「厳格な血糖管理」の興亡 ― 13試験で読む、問いが置き換わるまで
血糖を正常に近づければ患者はよくなる。この直感は外来でもICUでも一度は支持され、2008〜2009年に両方で否定された。そして2015年以降、問いそのものが「どこまで下げるか」から「何で下げるか」へ置き換わる。

安定冠動脈疾患に、血行再建は要るのか ― 23試験で引く、効く場面と効かない場面の線
COURAGEが予後の利益を否定し、FFRによる病変選択が一度は救済し、ORBITAが症状すら疑い、ISCHEMIAが決着をつけた。しかし試験が否定したのは「安定冠動脈疾患における、予後を目的としたルーチンの血行再建」に限られる。左主幹部、複雑多枝、急性冠症候群、そして低心機能へのCABG。
本ページは医学情報の学習を目的とした解説であり、個別の診療判断を代替するものではありません。診療にあたっては最新の国内診療ガイドラインをご確認ください。