リンチ症候群のがん予防、アスピリンは600mgより少なくてよいか(CaPP3)
Burn J. リンチ症候群のがん予防、アスピリンは600mgより少なくてよいか(CaPP3)(Aspirin for Cancer Prevention in Individuals with Lynch Syndrome (CaPP3)). Lancet Gastroenterol Hepatol 2026.(DOI: 10.1016/S2468-1253(26)00114-7 / PMID: 42425127 / NCT02497820)
リンチ症候群の成人1866例(ITT)を、アスピリン100mg/300mg/600mgの1日1回内服に3:3:4で割り付けた(2年間は二重盲検、その後3年間は同じ用量で非盲検)。追跡中央値66.4か月で、リンチ症候群関連がんは176例に216件。100mg群は600mg群に対し、最初のがんまでの時間の HR 0.97(95%CI 0.67〜1.42)、がん負荷の IRR 0.94(0.65〜1.38)で、ITTでは非劣性マージン1.5を下回ったが、per-protocolの HR は 1.00(0.61〜1.63)で上限が1.5を超え、形式上の非劣性は成立しなかった。300mgは ITT・PP とも非劣性を示せず。一方、有害事象は 25.0%/26.8%/31.2%(p=0.03)、重篤な出血は 0例/3例(0.5%)/11例(1.5%)(p=0.004)と、用量が低いほど少なかった。「低用量でも同じ効き目に見えるが、それを証明しきれなかった」試験。
背景・CQ
CAPP2試験では、リンチ症候群にアスピリン600mg/日を投与すると大腸癌とリンチ症候群関連がんの発生が有意に減った。しかし600mgは常用量としては多く、出血の懸念がある。CaPP3は、より少ない2つの用量が600mgに劣らないかを検証した。
リンチ症候群のがん予防で、アスピリン100mgまたは300mg/日は600mg/日に劣らないか?
研究デザイン(PICO)
18歳超のリンチ症候群保因者1866例(ITT)。英国・オーストラリア・フィンランド・イスラエル・スペインの臨床遺伝センターから登録
アスピリン100mg/日(559例)または300mg/日(562例)
アスピリン600mg/日(745例。CAPP2で有効性が示された用量)
主要=介入開始後に新たに生じたミスマッチ修復欠損がん(リンチ症候群関連がん)の数。安全性=盲検2年間の注目すべき有害事象
方法:RCT・多施設・並行群間・二重盲検・用量非劣性。2014年10月〜2019年3月に1879例を登録し、Newcastle Clinical Trials Unit が中央で 3:3:4(100mg:300mg:600mg)に割り付けた。最初の2年は用量が分からないよう同一包装で6か月ごとに配布し、2年時点で用量を開示、その後3年間は同じ用量を病院処方で継続(英国では非盲検期に100mgの代わりに75mgを使用)。服薬状況は自己申告。主要評価項目は Cox 比例ハザードで「最初のリンチ症候群関連がんまでの時間」のHR、負の二項回帰で「がん負荷」のIRRを算出し、いずれも600mgに対する95%CI上限が非劣性マージン1.5を下回ることを非劣性の条件とした。非劣性の成立には、ITTとper-protocolの両集団で、HRとIRRの両方が一貫していることを要求した。今回の解析は全例が登録から5年を迎えた時点で行われ、10年まで追跡が続く。登録:ISRCTN16261285、NCT02497820。
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本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。