活動性がん患者の肺塞栓疑いに YEARS アルゴリズムは使えるか(Hydra)
Akerboom B. 活動性がん患者の肺塞栓疑いに YEARS アルゴリズムは使えるか(Hydra)(YEARS Algorithm for Diagnosis of Suspected Pulmonary Embolism in Patients With Cancer (Hydra)). JAMA 2026.(DOI: 10.1001/jama.2026.10676 / PMID: 42437322)
活動性がんがあって急性肺塞栓(PE)を疑われた 698例を、YEARS アルゴリズム(YEARS項目+Dダイマー+リスク依存のCTPA)で管理する群と、最初から CTPA だけで管理する群に 1:1 で割り付けた。ベースラインで PE を否定できた患者のうち、90日以内に症状のある静脈血栓塞栓症または(可能性を含む)PE関連死が起きたのは、YEARS群 282例中5例(1.8%)、CTPA単独群 273例中15例(5.5%)。絶対リスク差 −3.7%(99.9%CI −8.8〜1.4)、非劣性 P=3.4×10⁻⁵ で非劣性が示された。YEARS群では 352例中77例(22%)が CTPA を撮らずに診断を終えられた。一方で「CTPA陰性の割合」を減らせたかという副次評価は両群で差がなかった(P=.93)。
背景・CQ
YEARS アルゴリズムは、臨床所見3項目とDダイマーを組み合わせて急性肺塞栓を安全かつ効率的に除外する方法として広く使われている。しかし、がん患者ではDダイマーがもともと高値になりやすく、YEARS の精度に関する確かなエビデンスが不足していた。そのため現行のガイドラインは、がん患者では YEARS を経ずに直接 CTPA へ進むことを提案している。
活動性がんがあって肺塞栓を疑った患者で、YEARS アルゴリズムによる管理は CTPA 単独と同じくらい安全か?
研究デザイン(PICO)
活動性がんがあり、急性肺塞栓を疑われて救急部または内科病棟を受診した患者 698例(オランダ・イタリア・スイス・ベルギー・フランス・スペインの21施設)
YEARS アルゴリズムによる診断管理(YEARS項目の評価+Dダイマー測定+リスクに応じたCTPA)352例
CTPA 単独による診断管理 346例
主要=ベースラインで PE を否定したあと90日以内の、中央判定による症状性静脈血栓塞栓症または(可能性を含む)PE関連死。主な副次=ベースラインでの CTPA 陰性の割合
方法:RCT・多施設・非盲検・非劣性デザイン・アウトカムは中央盲検判定。研究者主導。2019年8月22日から2025年8月21日(最終追跡日)まで実施された Hydra 試験。主要評価項目は per-protocol の非劣性解析で、片側99.9%信頼区間の上限に対して 2.6% の非劣性マージンを設定した。副次の「CTPA陰性の割合」は優越性解析で評価した。intention-to-diagnosis 解析も併せて行われた。
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本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。