Paper Cruxy
原著を開く
会員限定双極症(治療抵抗性うつ)RCT・研究者主導・二重盲検・ミダゾラム対照・多施設・1対1割り付けJAMA Psychiatry 2026読了 約5分

治療抵抗性の双極性うつ病への静注ケタミン連続投与(Ket-BD)

Orsini DK. 治療抵抗性の双極性うつ病への静注ケタミン連続投与(Ket-BD)(Serial Ketamine Infusions for Treatment-Resistant Bipolar Depression (Ket-BD)). JAMA Psychiatry 2026.(DOI: 10.1001/jamapsychiatry.2026.2658 / PMID: 42684694 / NCT05004896)

うつ病に対する静注ケタミンの抗うつ効果は確立してきたが、双極性うつ病でのデータは乏しかった。躁転のリスクがあるからこそ、誰もやりたがらなかった領域とも言える。Ket-BD はカナダ・オンタリオ州の3施設で、DSM-5の双極I型またはII型と診断され、MADRS 21点以上の中等症〜重症うつ病相にあり、かつエビデンスのある薬物療法に2回以上失敗した21〜65歳の外来患者68例を対象にした。気分安定薬または抗精神病薬を1剤以上安定投与したうえで、40分の点滴を2週間に4回、ケタミン(0.5〜0.75mg/kg)かミダゾラム(0.02〜0.03mg/kg)に1:1で割り付けている。14日目のMADRSは群間差 −7.3点(95%CI −12.0〜−2.5、p=0.003、Cohen d=0.7)でケタミンが優れた。躁転・軽躁転・精神病症状・自殺企図はどちらの群にも観察されず、混合性の特徴(閾値下の軽躁症状)が各群1例ずつだった。ただし初回投与後に割り付けを言い当てた参加者は66例中31例(47%)で、盲検の破綻は無視できない。

Background

背景・CQ

静注ケタミンの抗うつ効果は大うつ病性障害で示されてきた。一方、双極性うつ病における有効性と安全性はほとんど分かっておらず、この集団に限ったデータは限られていた。躁転の懸念がある集団だけに、対照を置いた検証が求められていた。

クリニカルクエスチョン

治療抵抗性の双極I型・II型うつ病に、気分安定薬または抗精神病薬への上乗せとして静注ケタミンを反復投与すると、ミダゾラムに比べてうつ症状は改善するか?

Design (PICO)

研究デザイン(PICO)

P
Population ・ 患者

21〜65歳の外来患者で、DSM-5の双極I型または双極II型障害が主診断、現在中等症〜重症の大うつ病エピソード(MADRS 21点以上)にあり、エビデンスのある薬物療法に2回以上失敗した治療抵抗性双極性うつ病(TRBD)68例

I
Intervention ・ 介入

ケタミン 0.5〜0.75mg/kg を40分かけて静注、2週間で計4回、柔軟用量。気分安定薬または抗精神病薬1剤以上の安定投与への上乗せ

vs
C
Comparison ・ 対照

ミダゾラム 0.02〜0.03mg/kg を同じスケジュールで静注(活性対照)

O
Outcome ・ 評価項目

主要=ベースラインから14日目(治療終了時)までの観察者評価MADRSスコアの変化。安全性=治療下で出現する躁・軽躁・混合性の特徴・精神病症状の評価

方法:RCT・研究者主導・二重盲検・ミダゾラム対照・多施設・1対1割り付け。カナダ・オンタリオ州の3施設で2022年7月から2025年11月まで実施し、データ解析は2025年11月から2026年2月に行った。参加者は気分安定薬または抗精神病薬を1剤以上安定して服用したうえで、40分の点滴を2週間に4回受けた。主要有効性解析には、主要評価時点の前に脱落した5例(ケタミン群1例、ミダゾラム群4例)を除く63例が含まれ、性別・双極の病型・ベースラインMADRSで調整された。

この続きは、無料登録で読めます。

登録に必要なのは、メールアドレスとパスワードだけです。カードの登録は要りません。
登録すると、この論文の続きを含めて、毎週3本まで、どの論文でも本文が読めます(毎週月曜にリセット)。

登録すると読める、この先の章
  1. 主な結果
  2. 臨床への落とし込み
  3. 結論
  4. 解釈と限界

すべて読みたい方は、登録後にプレミアムを14日間¥0で試せます(カード登録が必要)。

最後まで読める3本も。

どの論文も、冒頭の2章はこのまま読めます。登録なしで最後まで読める解説も3本あります。

無料で読める3本を見る

本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。