精神科の危機対応にOpen Dialogueを導入すると再発までの時間は延びるか(ODDESSI)
Pilling S. 精神科の危機対応にOpen Dialogueを導入すると再発までの時間は延びるか(ODDESSI)(Open Dialogue versus Treatment as Usual for Adults Presenting in Crisis to Mental Health Services (ODDESSI)). Lancet Psychiatry 2026.(DOI: 10.1016/S2215-0366(26)00229-4 / PMID: 42648300)
Open Dialogue は、本人と社会的ネットワークを同席させたネットワークミーティングを軸に、継続性と関係性を重視する診断横断的な精神科ケアのモデルである。ODDESSI は、イングランドのNHS 5トラストで、かかりつけ医の診療所単位のクラスターを30個作り、Open Dialogue と通常診療に1:1で無作為割り付けした。危機で受診した成人494例を2年追跡し、主要評価項目である「初回回復後の再発までの日数」は marginal HR 0.95(95%CI 0.67–1.32)で差がなかった。ただし副次評価では、精神科入院・危機ケアへの再紹介の確率が有意に低く、自己評価によるリカバリー、健康関連QOL、サービス満足度が改善していた。「主要評価項目は外したが、拾えたものがある」試験の典型例。
背景・CQ
Open Dialogue は、当事者を中心に据え、診断を横断して用いられる精神科ケアのモデルである。継続性、治療関係、当事者の社会的ネットワークとの協働を重視し、通常は2名の実践者が本人とネットワークを支え続ける。サービス全体をこのモデルに切り替える運用が想定されるが、有効性の検証は乏しかった。
精神科の危機対応において、Open Dialogue は通常診療と比べて再発までの時間を延ばすか?
研究デザイン(PICO)
18歳以上で、イングランドの地域精神保健サービスに危機で受診し、試験クラスター内の診療所に登録されている成人 494例
Open Dialogue(271例)
通常診療(treatment as usual、イングランドの精神保健サービスで現行の機能別チームモデル、223例)
主要=初回の危機からの回復後、最初の再発までの日数(2年の追跡期間終了時で打ち切り)。副次=EuroQol VAS、Social Provisions Scale、Lubben Social Network Scale、リカバリー過程質問票、Client Satisfaction Questionnaire、および電子カルテから抽出した臨床指標
方法:RCT・クラスター無作為化・多施設・並行2群・優越性試験。イングランドのロンドンおよび南部のNHS 5トラストで実施した。クラスターはサービス圏域内のかかりつけ医診療所の単位で定義した。無作為化はクラスター単位で1:1、圏域で層別化し、平均の患者登録者数と2015年の複合的剥奪指標でバランスを取った。研究責任者、上級統計家、主要評価項目の評価者は盲検化された。ケアモデルへの忠実度と Open Dialogue の実施遵守は、各施設の登録開始前と、その後は最終追跡まで6か月ごとに測定した。当事者経験のある人々が研究のデザインと実施に関与した。試験は後ろ向きに登録された(ISRCTN52653325)。
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本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。