早期〜中間期の直腸癌に対する臓器温存:長期化学放射線 vs 短期放射線(STAR-TREC 12か月成績)
Bach SP. 早期〜中間期の直腸癌に対する臓器温存:長期化学放射線 vs 短期放射線(STAR-TREC 12か月成績)(Chemoradiotherapy versus short-course radiotherapy for response-adapted organ preservation in early-stage and intermediate-stage rectal cancer (STAR-TREC)). Lancet Oncol 2026.(DOI: 10.1016/S1470-2045(26)00228-7 / PMID: 42633754)
直腸癌の標準治療である全直腸間膜切除(TME)は、周術期合併症・機能障害・QOL低下の代償が大きい。STAR-TREC は、放射線治療で腫瘍を縮小させて手術を回避する「臓器温存」戦略において、長期化学放射線(LCCRT:50 Gy/25分割+カペシタビン 825 mg/m² 1日2回)と短期放射線(SCRT:25 Gy/5分割)のどちらが優れるかを比べた国際多施設ランダム化第2/3相試験である。5か国37施設で 503例が登録された。今回報告されたのは、事前計画された30か月の主要評価項目ではなく、12か月時点の中間報告である。修正ITT 409例(LCCRT 163例、SCRT 168例、一次TME 78例)のうち、臓器温存を選んだ患者での 12か月TME非施行生存は LCCRT 78.5%(95%CI 72.4–85.1)vs SCRT 60.6%(53.6–68.4)、ハザード比 1.90(95%CI 1.29–2.81)。Grade 3–4 の重篤有害事象のうち消化管障害は LCCRT 4例(2%)、SCRT 6例(4%)、一次TME 6例(8%)だった。
背景・CQ
早期〜中間期の直腸癌では、TME が標準治療である。しかし TME は周術期合併症、排便・排尿・性機能の障害、QOL の低下を伴いうる。放射線治療への反応を見て、効いた患者では手術を回避する「response-adapted organ preservation(反応適応型臓器温存)」という戦略が検討されてきた。その際、放射線の当て方として長期化学放射線と短期放射線のどちらを選ぶべきかは決まっていなかった。
早期〜中間期の直腸癌に対する臓器温存において、長期化学放射線(LCCRT)は短期放射線(SCRT)より臓器温存を増やすか?
研究デザイン(PICO)
ECOG PS 0–1、直腸腺癌で腫瘍径 40 mm 以下、MRIで mrT1–T3bN0 と診断された患者。年齢は英国では16歳以上、それ以外の国では18歳以上。修正ITT 409例(うち臓器温存を選択したのは LCCRT 163例・SCRT 168例)
LCCRT による臓器温存(LCCRT-OP)= 50 Gy を25分割+カペシタビン 825 mg/m² 1日2回 経口
SCRT による臓器温存(SCRT-OP)= 25 Gy を5分割。第2相ではさらに一次TME 群(78例)が置かれた
第3相の主要=治療開始から30か月時点の臓器温存(TME・ストーマ・局所再発のいずれも無いこと)。今回報告されたのは 12か月時点の実装成績
方法:ランダム化・第2/3相・国際多施設・非盲検・並行群間。欧州5か国37施設で 2017年6月14日から2024年4月8日までに 503例を登録した。第2相は LCCRT-OP/SCRT-OP/一次TME に 1:1:1 で割り付け、実施可能性(12か月・24か月時点の登録速度、閾値はそれぞれ月4例以上・月6例以上)を主要評価項目とした。第3相は「部分ランダム化・患者選好デザイン」を採り、患者が臓器温存かTMEかを自分で選び、臓器温存を選んだ患者だけを LCCRT-OP と SCRT-OP に 1:1 で中央割付した(国とMRIのT分類〔≤T3a vs T3b〕で最小化法により層別)。第2相の非マスクデータの計画中間解析を受けて、試験運営委員会と独立データモニタリング委員会が、2023年8月8日より前に登録された症例の12か月修正ITT解析を報告するよう勧告した。解析対象は 426例(第2相120例+第3相306例)で、治療開始前に17例が同意撤回し、修正ITT は 409例。試験登録は ISRCTN 14240288。
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本ページは医学情報の学習・抄読会支援を目的とした要約であり、個別の診療判断を代替するものではありません。掲載の数値は原著に基づきますが、投与の可否・用量などの最終判断は、必ず原著論文および最新の診療ガイドラインをご確認ください。図表は出版社からの転載ではなく、要点を独自に記述・再構成しています。